現代の農産物貿易
通俗的な国際分業論が想定するのは北の工業特化、南の農業特化という国際分業ですが、事実はそれとはまったく逆です。
そして、農産物貿易における政治依存性の強さという点もあります。
現代の農産物貿易は単純な市場メカニズムによって動いているわけではありません。
それは直接・間接に政治・政策に支えられている部分がきわめて大きいのです。
政治輸出ないし政策輸出と呼ばれるものがそれであり、この点は工業製品の貿易と比べた場合の農産物貿易の大きな違いです。
こうした農産物輸出における政治との関連は、大きくいって次の二つの形で生じます。
その一は、国内農業政策の延長線上にあるケースです。
国内での価格支持の強化が過剰を生み、これを海外へのダンピング輸出に向けるというケースです。
その二は、一定の政治的意図の下に農産物輸出を位置づけ、これを国際政治の手段として利用しようとするケースです。